見事な落としどころ。
週末に、あるお客様とお話する中で、エンジン排ガス規制に関するものがありました。
全世界・全産業にわたるカーボンニュートラル、カーボンフリーへの潮流の中で、どのようになっていくのか気になっておられるとのことで、現在進行形でされている議論について簡単にご説明しましたが、その中でお客様は、規制と産業の協調という点を意外と感じておられたようです。
言うまでもなく、この規制は環境に主眼を置いたものですが、どうやっても達成不可能な非現実的な規制値を掲げて産業の急激な荒廃を招いてもトータルで逆効果なので、現実性をもつように、ある程度技術との協調がとられているというのが実際のところです。
例えば、この分野で先行する欧州のEURO規制では、EURO1~4までは例外なく段階的に規制値が厳しくなっていましたが、EURO5あたりから当時の技術との協調をとり、同じEURO5の中でもa,bとステージを設けるようになりました。
さらにEURO6に入ると、例えばディーゼルエンジンでは、マイルドな燃焼によるアプローチ、排ガス後処理装置によるアプローチがありましたが、いずれにしても、特に始動後の冷間時に排出される未燃炭化水素(HC)がどうしても増えるため、規制値をHC単体ではなく、窒素酸化物(NOx)とHCの総量とすることで、より現実的な規制値となっています。
このあたりの具体的な値は、こちらに記載されています。
ただし、これは産業の怠慢ではなく「現在もしくは近い将来にできる最良のものを提供する」という、ギリギリの状態で技術開発がおこなわれていることの現れで、排ガスを測定する際の走行パターンなども、実際のフィールドでの走行を模擬するような複雑なパターンが採用されたりと、産業にとっては非常に高く、それでも乗り越えなければならない壁がどんどん増えています。
こういったせめぎ合いの中で、毎回見事な落としどころで決着するあたりはさすがと言わざるを得ないですが、ユーザーがこういった観点で動向を観察するのも、ゲームチェンジャーとなる技術の発掘や、「正しい電動化」に向かうために必要なのかも知れません。




